フランスの文化や習慣の特徴と日本の文化との違いとは?
ここではフランスのさまざまな文化について、その文化の成り立ちや日本の文化との違いという側面も含めて紹介し、解説をしていきます。
旅行やビジネス、留学などでフランスを訪れたとき、現地でのコミュニケーションがうまく取れず不安になるなど、日本の文化や習慣との違いに驚くことが多いと思いのではないかと思います。
私自身フランスで生活していたとき、日本とは異なる文化や習慣、考え方に遭遇し、何度も戸惑ったことがありました。
その違いの中で「素敵だな」と感じたことは積極的に取り入れ、フランスで生活をしたからこそ経験できたこともとても数多くありました。
そこで、今回はフランスの文化や習慣、考え方について紹介し、フランス人とのコミュニケーションをより素晴らしいものにするためにやってみるといいこと、気をつけた方がいいことについて、日本との違いを交えながら解説をしていきますので、ぜひ知識として身につけて楽しんでいきましょう。
フランスの文化や習慣、社会を育んできた歴史
フランスの文化や習慣を語る上で、フランス人の思想や考え方に強く影響した歴史的な出来事は「革命(Révolution)」です。
「民衆を導く自由の女神(La Liberté guidant le peuple)」という絵画を見たことがあるでしょうか?
フランス国旗を右手に掲げた女性が民衆を導いている、ウジェーヌ・ドラクロワのとても有名な絵画で、ルーヴル美術館で見ることができます。
1830年7月27日から29日にフランスで起こった「フランス7月革命」を題材にした絵画で、この絵に描かれている「マリアンヌ」という名前の女性、フランス国旗を掲げている彼女が「フランス共和国」であるとされ、自分たちの手で自由を勝ちとった民衆にとって、自由の象徴である「自由の女神」なのです。
「自由」であることは、フランス人の生活の中でとても大切で、子供のときから学校の授業で自分の意見を発言することを学び、大人になって議論するときには、他人と意見が違うのは当たり前で、たとえ間違っていたとしても自分の意見を持つ自由があるということが重要なのです。
また、フランスの学校では制服はなく、ランドセルや決められたバッグもありません。
学生は自分の好きなデザインやキャラクターのリュックサックやバッグを選び、それを持って通学をするというところから、一人一人に個性が生まれ、そこから多様性が育まれるのではないではないかと思います。
18世紀後半に起こったフランス革命では、民衆が自らの手で自由を勝ち取った歴史的背景から、時代は変わっても体制に対して権利を主張する方法として今でも行われてのがストライキやデモだと思います。
街中でのデモやストライキで電車、バスが止まっていたりすることは、フランスでは日常的なことであり、フランス人にとって、デモやストライキは自分たちの意思表示であり、市民が権利を主張する必要な戦いだということなのです。
革命時のスローガンであった「自由・平等・友愛(博愛)」が国の標語となり、現代の社会のシステムに組み込まれていることから、18世紀後半から19世紀にかけて起きたフランスの歴史的事件が長い時が経過した今でもフランス人の精神に残り続けていて、社会や文化の発展に大きな影響を与えた出来事だったということがいえるのではないかと思います。
フランスの文化と日本の文化の面白い違い
フランスで生活をしていると日本との違いに驚くことが数多くありますが、私自身の軽々んで、「考え方が日本とは逆だな」と強く感じたのが、送別会についての考え方でした。
日本で仕事を退職するときには、一緒に働いていた同僚が送別会を企画して開いてくれることが多く、それが当たり前だと思っていたのですが、フランスでは全く逆の考え方で、送別会は退職する本人が企画して開催しなければなりません。
送別会の日時、参加者、会場を退職する本人がすべて手配するので、会社を辞めるときはとても大変です。
一般的な送別会はレストランやバーで開催したり、会社の会議室などを使ってケータリングを手配することもありますが、基本的にその費用はなんと自腹!
送別会には、参加する人のパートナーや恋人が来ることもあるので、いつの間にか大人数になっていることもあり、飲んで、食べて、ゆっくり話をするのが大好きなフランス人なので、主催者はお会計が気になってしまいそうですよね。
私たち日本人の送別会の考え方は、退職をする人に対して今までの功績や労をねぎらい、お世話になったことに感謝の気持ちを持って開く会ですが、フランスでは退職する本人が、一緒に働いていた仲間や同僚に対して、感謝の気持ちを伝えるためにパーティーに招待するという考え方なのです。
また、フランス人の挨拶も日本人が驚く習慣の1つなのではないでしょうか。
フランスでの挨拶は「握手」と「ビズ(la bise)」があり、家族や友人、仲の良い同僚などとは「ビズ」をします。
「ビズ」とはフランス語で「キス」の意味になり、挨拶の「ビズ」とは頬と頬を触れ合わせ、唇でチュッと音を鳴らすことになります。
「ビズ」は挨拶をするときの距離がとても近いので最初は抵抗がありますが、フランス文化であり、挨拶の1つなので、この「ビズ」ができると現地の人との距離がぐっと近くなります。
「ビズ」を断わるのは簡単ではないのですが、どうしても抵抗がある場合は、挨拶をするときに先に手を出して握手を求めると相手も無理にしてくることはないので、覚えておくと役に立ちます。
このようにフランス人にとって挨拶は大事な習慣であり、お店に入るときにも店員に対して「こんにちは(Bonjour)」と挨拶し、店を出るときにも「ありがとうございました、さようなら(Merci, au revoir)」とお礼を伝えてお店を出るのがマナーです。
日本人にとっても挨拶は大事ですが、日本の場合は「おはよう」と言えば、みんなに伝わっていますが、フランスの場合は握手も「ビズ」も一人ずつ行う必要があるということです。
そのため、一度にたくさんの人と会うときは挨拶をするのに時間がかかるので、数分ですがビズ待ち時間というものが存在します。
もしフランス人に知り合いや友人ができたら、挨拶で「ビズ」をしてみると、相手との心の距離がグッと縮まって仲良く慣れますよ。
フランスの食の文化
ここではフランス文化の中の食の文化について紹介をしていきます。
フランスにはその土地の文化や風土に根付いたお酒や郷土料理が数多くあります。
例えば、フランス東部のアルザス地方はドイツに近いため、ドイツ料理の影響を受けた郷土料理が数多くあり、その中でもジャガイモやソーセージ、豚肉などを使った「シュークルート」という料理がとても有名で、フランス南部のプロバンス地方には、地中海産の魚貝類を使った料理の「ブイヤベース」などがあります。
そしてフランス人にとって食事をより楽しくするものとして欠かせないものがワインです。
ワインも風土がとても大切で、産地による特徴や個性の違いがあり、料理との相性を楽しみます。
フランス北部のノルマンディー地方やブルターニュ地方では、ワイン用のブドウが育たないため、特産品のリンゴを使ったお酒が有名で、特にブルターニュ地方では、郷土料理の「ガレット」を食べるときにリンゴの発泡酒「シードル」を合わせたりします。
日本にその土地や風土に合わせた郷土料理やお酒があるように、フランスにも地方に行くと、その地域の土地や文化、風土に根付いた食文化があり、フランス人はそれを誇りに思っています。
そして、フランス人は会話をしながら、ゆっくりと食事の時間を共有するのが大好きです。
日本では麺類やファーストフードなど気軽にひとりで食べに行くことが多くなりつつありますが、フランスではひとりだけでレストランで食事をしている人をほとんど見かけることがありません。
それは、フランス人にとってレストランはワイワイおしゃべりをしながら時間を過ごす場所だからです。
私もフランスに住んでいたときは、ひとりでフレンチレストランに行く勇気はなかったので、ひとりでも気兼ねなく行ける日本食レストランへ行っていました。
フランス人にとって楽しい食事の時間はみんなで分かち合うことが大切なのです。
フランスでの食事マナーと食の習慣
ここではフランスの食文化における食習慣や食事のときに気をつけるべきマナーについて紹介していきます。
フランスの食の習慣の主な特徴として「アペリティフ(Apéritif)」があります。
「アペリティフ(Apéritif)」は「食前酒」という意味になり、食事の前にお酒とおつまみとともに会話を楽しむフランス人が大好きな習慣です。
「アペリティフ(Apéritif)」は、19時から20時頃に始まり、その後21時頃からディナーが始まることが多いので、フランス人のお家に招待される機会があったら、アペリティフが美味しくて、つい食べすぎたり、飲みすぎたりしてしまうと、ディナーのときにはお腹がいっぱいということもあるので注意しましょう。
フランスのレストランでも食事の前に、「アペリティフはいかがですか?」と聞かれることもあるので、フランス人の多くはシャンパンやキール(白ワインにカシスリキュールを混ぜたカクテル)を飲むことが多いです。
次にフランスの食文化において、恥ずかしい思いをしないために知っておくべき食事のマナーについて、日本との違いも交えて紹介していきます。
まずは、飲み物を注いでもらうときです。
日本では、お酒などの飲み物を注いでもらうときグラスを持ち上げて注いでもらいますが、フランスではグラスを持ち上げてはいけないというマナーがあります。
友人に「なぜ?」と質問をすると、ワインは手の温度などで味が変化したり、注ぐときにこぼれてしまったりすることがあるからだそうです。
またそれだけではなく、飲み物を注いでもらうときにグラスを持つと、相手に飲み物を注ぐよう強く願望しているようで品がなく見えてしまうことがあるそうです。
フランスのレストランで食事をするときや、フランス料理を食べるときに飲み物を注いでもらうときには、グラスは置いたまま注いでもらいましょう。
また、レストランで頼んだものを他の人とシェアすることもあまり好ましく思われません。
日本のようにシェアする文化がないため、レストランも一人一皿頼むことがマナーとなります。
ただ、フランスではレストランによっては量が多く食べきれないことがあるので、事前にシェアしたいことを伝えておくとスタッフの方も対応してくれますので、事前に伝えておくようにするのがスマートです。
フランス人の生活習慣と気をつけるべきマナーとは?
ここではフランスの一般的な生活習慣や日常生活の中で気をつけておくべきマナーや振る舞いについて紹介していきます。
日本人の私たちからすると、フランス人は個人主義でクールだったり、人によってはちょっとイジわるなイメージを持っている人が多いかと思いますが、私がフランスに住んでいたとき、ほっこりした気持ちになったフランスの習慣があります。
レストランやお店の出入り口にある自分で開閉するドアですが、フランスでは次の人が続けて後ろにいる場合、後ろの人のためにドアを押さえておくという習慣があります。
そのとき、ドアを押さえてくれている人と中に入るときに目を合わせ、「ありがとう(Merci)」とニコッとしてお礼をします。
後ろの人が少し離れていても、押さえて待っていてくれる人もいて、とても素敵な習慣だなと思いました。
フランスでタブーとされているのはお金の話をすることです。
日本でもお金のことなどデリケートな話題を扱うときには気をつける必要があるのは当然ですが、フランス人とお金の話をするときには特に注意をする必要があります。
相手が着ている服や身につけている装飾品、持ち物の値段を聞かれることを嫌がりますが、給料をいくらもらっているのか、家賃はどのくらいのところに住んでいるのかなどを聞くことは最も嫌われる行為です。
フランス人の友人の家に招待され、その家がとても素晴らしかったとしても、「ここ家賃いくら?」と気軽な気持ちで聞くことはやめておきましょう。
なんでも言い合える仲になったらもしかすると話すことができるかもしれませんが、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があるように、やはり避けておくことが相手への思いやりになります。
フランス人はなぜ香水をつけるのか?
ここではフランス人が香水を好む理由や香水をつける理由について紹介していきます。
フランスで香水が発達したのは、17世紀頃、太陽王として知られるルイ14世が香水好きであり、ルイ14世が造営したヴェルサイユ宮殿には専属の調香師を常駐させていたとも言われています。
香水が普及した主な要因には諸説ありますが、その当時のヴェルサイユ宮殿にはトイレが少なかったため、宮殿の庭園で用を足す人が多かったからとも言われています。
また、その当時のフランス人はお風呂に入ることもあまりしなかったため、体臭を紛らわせるために香水を使っていたといわれています。
現在においてもフランス人は香水をつけることを好み、その香りで個性を出し、自分のお気に入りの香水を見つけるために香水のお店は常に賑わっています。
南フランスには香水の街として有名なグラースという町があります。
グラースは温暖な気候であるため、常に香りの原料となる花々が咲き誇っており、有名な香水メーカーも数多くあります。
私も以前グラースに旅行で訪れたとき、泊まったホテルから老舗メーカー「フラゴナール」の香水をプレゼントでいただきましたが、それがとても良い香りだったので、その後も愛用していました。
フランスの人々は自分のお気に入りの香水を恋人にプレゼントしたりすることもあり、香水はフランス人にとって欠かすことのできない大切な文化の一つになっています。
フランスの教育と学校生活
ここではフランスの教育制度と学校生活について紹介していきます。
フランスの義務教育は3才から中学校までで、小学校と中学校は年数が日本とは異なります。
9月から学期が始まり、翌年の7月に終了となるので、夏休みが2カ月程あります。
フランスの教育制度 | |||
幼稚園(義務教育) | École maternelle | 3年制 | 3〜5才 |
小学校(義務教育) | École primaire | 5年制 | 6〜10才 |
中学校(義務教育) | Collège | 4年制 | 11〜14才 |
高等学校 | Lycée | 3年制 | 15〜17才 |
フランスでは3つの種類に高校が分けられます。
フランスの高等学校 | ||
普通教育課程 | Lycée général | 大学への進学を目指し、普通バカロレアを取得する課程 |
工業高等学校 | Lycée technologique | 工業の専門知識や技術を身に付け、工業バカロレアを取得する課程 |
職業高等学校 | Lycée professionnel | 菓子職人や美容師などの専門知識や技術を身に付ける課程 |
「バカロレア(Baccalauréat)」とは、高等学校の教育が修了したことを証明するフランスの国民教育省が管理している国家資格のことになります。
例えば日本では大学に入学するときに入学試験がありますが、フランスでは大学が実施する入学試験ではなく、高等学校卒業前に受ける国家試験に「バカロレア」という制度があり、入学にあたって普通バカロレアを取得しなければなりません。
グラン・ゼコール(Grandes écoles)とは、フランス特有のシステムになり、いわゆる「エリート養成学校」になります。
グラン・ゼコールに入るためには、高校卒業後に2年間の準備学級(Classes préparatoires aux grandes écoles)に入学し、みっちり勉強をします。
2年間の準備学級が終了すると、やっとグラン・ゼコール入学のための選抜試験を受けることができます。
グラン・ゼコールは、フランスでは大学よりも学位が高い存在として認識されており、政治家や世界で活躍している人々の中にもグラン・ゼコール出身者が多くいます。
フランスと日本の学校生活における大きな違いの1つは先生との付き合いではないかと思います。
日本の学校ではクラスに担任の先生が付き、部活動や掃除、昼食と常に子供達と一緒に過ごし、さまざまな面倒を見てくれますが、フランスでは学校の先生はあくまでも勉強を教えるのが仕事になり、勉強以外は専門のスタッフが担当するため、基本的に生徒や学生と勉強以外で関わることはほとんどありません。
日本の公立の学校には基本的に給食制度がありますが、フランスには給食制度がありません。
お昼休みに生徒は家に帰って昼食を食べてもいいし、家に帰らない生徒には有料で昼食が用意されますが、教室で食べることはなく食堂で食べます。
そして、先生もお昼休みは休憩をとり、給食担当のスタッフが食堂で過ごす子供達の面倒を見てくれます。
またフランスでは、学校の先生が顧問として行う部活動もなく、子供達はお金を払い、専門の講師が学校へ来て教わるのが一般的なのです。
フランスでは、放課後や週末などに部活動をしたり、夜遅くまで塾に通うことも一般的ではないため、家族で過ごしたり、出かけたりすることを大切にしているとも言えます。
そして学校への通学スタイルも日本とは異なります。
日本では小学生から子供だけで通学しますが、フランスの小学校では親が送迎するのが一般的で、下校の時間になると親が学校の前で待っている姿をよく見かけます。
仕事などで親が迎えに行けない場合は、シッターにお迎えに来てもらっている生徒もいて、親が帰宅する時間まで子供の面倒を見てくれます。
フランスでは、夫婦で食事に出かけるときには、シッターを雇って子供の面倒を見てもらうことも一般的によくあります。
フランス文化における芸術
ここではフランス文化の芸術について紹介をしていきます。
フランスの中でも特にパリは、芸術の国や芸術大国とも言われ、街中でもアートが溢れ気軽に触れることができ、パリ市街を散歩がてらアート作品を探すのもとても楽しいです。
パリに行ったことがある人なら必ず目にするメトロ(地下鉄)のエントランス。
このエントランスは、「アール・ヌーヴォ―(Art Nouveau)」様式の作品で、アール・ヌーヴォ―を代表する建築家のエクトール・ギマールが手掛け他ものです。
現在も彼が設計した建物がパリ16区には数多く残っていています。
「アール・ヌーヴォ―(Art Nouveau)」とは「Art(芸術)+ Nouveau(新しい)」、フランス語で「新しい芸術」という意味で、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで従来の価値観や伝統にとらわれず新しい様式を打ち立てようと起きた芸術運動のことです。
「アール・ヌーヴォ―(Art Nouveau)」の特徴は、植物や昆虫などの自然をモチーフとして、自由な曲線を組合せた装飾性があり、建築、工芸、絵画などに取り入られました。
フランスでは、パリとフランス北東部にあるナンシーという町でアールヌーヴォー様式は特に発展し、ナンシーのアールヌーヴォーは「ナンシー派」と呼ばれ、地元の植物をモチーフにした装飾工芸品や建築が若手工芸家たちにより数多く手掛けられました。
ナンシーにはアールヌーヴォー建築の邸宅や美術館、アールヌーヴォー建築のブラッスリーもあるので、パリから足を延ばしてベルエポック時代にタイムスリップした気分に浸ってみるのもおすすめです。
美術館:Musée de l’École de Nancy(ナンシー派美術館)
https://musee-ecole-de-nancy.nancy.fr
アールヌーヴォー建築の邸宅:Villa Majorelle(マジョレル邸)
https://villamajorelle-nancy.tickeasy.com/fr-FR/billetterie
レストラン:Brasserie Excelsior (ブラッスリー・エクセルシオール)
住所:3 rue Mazagran Nancy 54000
フランス文化の伝統や行事
ここではフランスの伝統文化や伝統行事について紹介していきます。
フランスではキリスト教徒が多く割合を占めているため、キリスト教に関連する伝統行事が数多くあります。
キリスト教に関連する行事としてクリスマスや復活祭などは日本でも知られていますが、今回は1月に行われる行事の「公現祭」をピックアップして紹介していきます。
フランス語で公現祭は「エピファニー(épiphanie)」と言います。
“公現祭は1月6日または1月2日から8日の間の主日(日曜日)に、すべてのキリスト教会で行われる祝祭です。フランス語の「épiphanie」の語源はギリシャ語の出現を意味する「epiphaneia」で、東方からイエスを礼拝するためにベツレヘムを訪れた三博士へのイエスの「顕現」を祝います。19世紀以降、王様の日とも呼ばれるようになり、フェーヴとガレット・デ・ロワが東方三博士の供物の象徴となりました。.”
引用:在日フランス大使館 https://jp.ambafrance.org/article7175
東方から来た3人の博士が誕生したばかりのイエス・キリストの生誕を祝福し、礼拝に訪れたことを記念する日、つまりキリストの生誕を公にした日を祝うのが公現祭ということになります。
公現祭は、現在では1月最初の日曜日に行われることが多く、フランスではこの日にガレット・デ・ロワ(galette des rois)を食べる習慣があります。
「ガレット・デ・ロワ(galette des rois)」とは、「王様(rois)のお菓子(galette)」という意味で、この「王様」はキリストの生誕をお祝いした3人の博士のことを指し、3人なので「des rois」と複数形になっています。
ガレット・デ・ロワには、パイ生地で作ったタイプとブリオッシュ生地で作ったタイプの2種類があります。
フランス北部ではフランジパーヌと呼ばれるパイ生地にアーモンドクリームが入ったお菓子で、日本では主にこのタイプが知られています。
フランス南部ではブリオッシュ生地でできた大きなリングの形をしたお菓子で、ブリオッシュ・デ・ロワと呼ばれていて、表面にドライフルーツが飾られていて鮮やかな見た目のお菓子になります。
ガレット・デ・ロワの中には「フェーヴ」と呼ばれる陶製の小さな人形が1つ入っているので、食べる前に最年少の人がテーブルの下に隠れ、切り分けたガレット・デ・ロワを誰がどれにするかを決めます。
フェーヴが当たった人は紙製の王冠を被り、その日王様か王妃様になることができ、その1年は幸運が続くといわれています。
ガレット・デ・ロワは伝統的にはエピファニーの日のお菓子なのですが、フランスでは職場や友人達と食べることもよくあり、1月中はパン屋やパティスリー、スーパーでも数多く見かけることができます。
またガレット・デ・ロワのコンクールもあり、並ぶことがあまり好きではないフランス人も、この時期ばかりは並んででも美味しいガレット・デ・ロワを食べたいと思うほど大好きなお菓子なのです。
日本でもガレット・デ・ロワを購入できるパティスリーもあるので、1月になったらフランスの伝統行事にちなんだお菓子のガレット・デ・ロワを試してみてはいかがでしょうか。
フランスの文化や伝統に関するまとめ
ここではフランスの文化や習慣について、代表的なものや特徴的なものに絞って紹介してきました。
フランスの中でもイギリスに近い北フランスやドイツに近いフランス東部、スペインやイタリアに近い南フランスでは、同じフランスでもそれぞれの国民性の違いがあり、また多くの移民を受け入れてきた歴史から、さまざまな文化や習慣が混ざり、今のフランス文化が存在しているのではないかと考えています。
そして、何よりフランス人が大好きなのは、気の合う仲間とゆっくり食事をしておしゃべりをすることです。
フランス人と食事をする機会があったら、何を話したらいいのかと恐れず、なんでも話したいこと、好きなことを積極的に話すことがフランス文化に入っていく第一歩だと思います。